くつろぎのBar特別編 SOLITO MAGO COFFEE LABO「頭文字M(イニシャル エム)後編」
俺です。新年最初は、「頭文字M」へのインタビュー後編。
稼働を続ける焙煎機に、真剣な表情で向き合うその男。
自らの経営するカフェやBarで客に対峙する時と、漂わせる雰囲気が別人だ。
焙煎の様子に感覚を研ぎ澄ます姿には、近寄りがたささえ感じる。
無意識に発する「圧」。
その男のサンクチュアリに踏み込んでいるのだから、当然だ。
さて、飾り気のない口調で語られるのは、どんな言霊か……。
データ「M」
Bar Plat・Cozy bar Trias・Espresso&Bar come al SOLITO・SOLITO MAGO COFFEE LABO、4店舗のオーナー兼プレイヤー。経営者であるか否かは関係なく、恐らく何をしても周囲に及ぼす影響力が大きい種族だが、髪も性格も天然気味で(失礼)、その自覚が有るか無いかは不明(笑)。意思は固いが思考は柔軟で、物事に対する評価や分析の精度は高い。か弱げな草食動物に例えられるそうだが、俺は騙されない(笑)。
昨年10月某日 PM5:30 SOLITO MAGO COFFEE LABO
俺 :Mさん、自然体ですね(圧はあるけど 笑)。SOLITOに居る時とは、また違う。
少々若返った感さえありますよ(笑)。
M氏:そうですか?(苦笑)SOLITOも変わりますよ。
石山さんという《JCQAコーヒーインストラクター》の資格を持つ方が入りました。味のあるキ
ャラクターと技術が、SOLITOをクラフト感溢れる店にしていくでしょう。MAGOも魔法という名
称から受けるイメージに沿って、何をやるにしても、“柔らかさ”を意識するようになりまし
た。“自分の考えに凝り固まること=年を取ること”だと思うので、そこからは少しは脱却でき
たのかなと。外見は老化していきますがね(笑)。自然体という意味では、今は素に近いと思
います。自分を飾ったり抑えたりする必要が無く、気負ってないという感じです(笑)
俺 :お陰様で、俺の会社(都内)でも美味しく飲ませてもらってます。
M氏:柏の葉ブレンドでしたか?人気です。ブレンドを造るうえでは、私の焙煎士の先生にアドバイ
スをいただきましたが、先人の言葉をしっかり聞ける自分で良かったと。これまでの自分に凝
り固まっていたら、聞けてないですから(笑)。
俺 :あぁ、耳が痛い(笑)さて、コーヒーバッグの名称には、特徴があると聞いています。
命名の由来を教えてください。
M氏:コーヒーバッグはより日常に近いものとして考えているので、どういう人が飲むのかといえ
ば、女性かな、と。MAGOという魔法使いの言葉から連想するものは、「魔○の○急○」という
映画がスタンダードであり、皆が知っています。その主題歌から、思い描ける味わいと香りを
目指しました。
淡々と語っているが、コーヒーバッグの命名は、彼の感受性の成せるわざだ。飲む人の一日が、素敵な一日になるよう、心躍らせながら命名したに違いないと、そんな気がするのは俺だけか? 彼の中の*「センス・オブ・ワンダー」は、MAGOにおける重要なエッセンスだ。
俺 :今後はどのような店にしていきたいですか?
M氏:真面目に答えてしまうと、オリンピックの後でも残れる店ですね。
俺 :えぇ~っ!残るでしょ!!
M氏:今の日本は“景気を良くしちゃってます”が、通常に戻るでしょうから。このまま訪日外国人
が来てくださっていれば、日本全体はまだまだ大丈夫なんでしょうけど、柏だけが勝ってるな
んてあり得ませんよ。
俺 :そこは、コーヒーの良さが発揮されるのでは?
コーヒーは、日常に溶け込む飲み物です。一旦、家庭の日常に組み込まれれば、景気に左右さ
れるような商材とは考えにくいような気がします。
M氏:私もそうは思います。愛される店になっていかなくてはいけません。
俺 :北海道や沖縄で、MAGOのコーヒーが販売されているかもしれませんよ。
M氏:そうですね(笑)。それに、ここには小さな焙煎機があるので、それを使って、他のカフェの
マスターが焙煎してもいいと思っています。MAGOを工房として活用するということです。
私も、他のカフェも、お客様も、皆ハッピーになれる。MAGOを工房として使ってもらえれば、
街の情報も得られるし、交流も生まれます。
俺 :MAGOがハブ的な役割を担うということですね!
M氏:ですが、経営上キーポイントになるのはSOLITOだと思っています。MAGOは焙煎所としてのイン
パクトがありますが、SOLITOができたものを販売するだけの場所と評価されてしまってはいけ
ない。Barはバーテンダーの個性に支えられる部分があるように、これからは、石山さんの能力
を引き出すことが、私の仕事かな、と。彼の能力が引き出され、SOLITOに染まり、お客様に愛
されている情景が、心の中に浮かびます。ドリップのセミナーも実施していく予定です。
俺 :お会いしましたが、確かに、味のあるキャラクターですね。
俺にとってのSOLITOは、魔法使いも宇宙人も(笑)、日本人も外国人も、マジョリティもマイ
ノリティも、皆が各々の時間を楽しめる、流行りの言葉で言えば、ダイバーシティな場所で
す。店長のイメージ、ぴったりです(笑)
M氏:彼と2人のスタッフのおかげで、安心して焙煎に専念できています。もう1人欲しいのですが、
出会いのタイミングを待ちましょう。
俺 :では、これから販売してみたいものは?
M氏:ここに来ないと飲めないもの、“じゃないもの”がいいですね。例えばアイリッシュコーヒー
を作れるキットとか。MAGOで完成形で提供する、という考え方ではなく、お客様自身が美味し
く作れるもの、販売に広がりを期待できるものですね。ここに来ないと飲めないものでは、そ
れはまた経営の領域を狭めてしまうことになるので。
先日、地域新聞の方が取材に来られた際にも、焙煎風景を見ていただきました。これはコスタ
リカの豆ですが……焙煎前に、除かなくてはいけない豆があるんです。欠けていたり、虫食い
だったり……焙煎して粉にしたらわからないですよね。安いって、そういうことなんだろう
な、と。豆の選別行程を見ていただいたら、コーヒーに思い入れのある場所で買うことの違い
が伝わったようで、“そんなふうにして、私の手元にあるコーヒーはできているんですね”っ
て、気付いてくださったんです。今まではあまり語られてきませんでしたが、コーヒーがもっ
とウェーブになるには、そのような説明も必要だと思いました。
俺 :本当に良い豆しか焙煎しない作り手の信念、ここでしか購入できないコーヒーの魅力とメリッ
トは伝えるべきですね。MAGOの魅力の広がりを期待します!
勉強嫌いの俺でも、柏に限らず、昨今の飲食店経営が非常に厳しいことは知ってる。
「あれ?昨日までやってたのに」って、よくあるだろ?
駅前がチェーン店ばかりで面白いか?大手ショッピングモールばかりで楽しいか?
本当の地域経済の活性は、その地域を拠点とする店の成功にあると思う。
だからこそ、MAGOは成功しなくてはいけない。後に続く者達のためにも。
「頭文字M」の、成功への道を描く経営者としての感性、コーヒーの味わいと香りを決める、焙煎士としての感性………2つの感性のバランスと、人も店も進化しようとする努力が、今後もユーザーを惹きつけてゆくことだろう。
コーヒーへの真摯な思い、個性豊かなスタッフ、理にかなった経営戦略。
錬金術の元素は揃ってるぜ!
さぁて、どんな魔方陣を見せてくれるのだろう?!乞うご期待!!
マジ、なんちゃって経済誌になっちゃったよ(笑)
次回はBar Plat!こっちも個性煌めく面々だ!今度はゆる~くいっちゃうよ~(笑)
*「センス・オブ・ワンダー」
レイチェル・カーソンの著書。美しいもの・未知なもの・神秘的なものに目を見はる感性。
自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる様子が描かれる。
*画像は野外で淹れたMAGOのパプアニューギニア シグリ AA。アウトドアでほっこり
楽しむのもいーよな(笑)。あっ?カップが女々しい?ほっとけ!俺の宝物だ。
SOLITO MAGO COFFEE LABO
11:00~18:00 水曜定休(ご来店前に店舗にご確認ください)
070-1431-8295