摘水軒コレクション vol.12 渓斎英泉「桜下文詠む美人図」
本日は、摘水軒コレクション vol.12を連続ご紹介です!!!
摘水軒コレクション vol.12は、渓斎英泉「桜下文詠む美人図」です。
今日も、寺嶋哲生さんの誘う名画の世界をお楽しみください!
My collection. Vol. 12
渓斎英泉「桜下文詠む美人図」:(松濤美術館で近日公開予定)
もう、春です。
気懸りな事はさて置き、一先ずは春風を深呼吸です。
待ちに待った満開の桜を背にして、待ち焦がれていた手紙を読み始めたお嬢さん。
左手に携えられた未読の文には、何が書かれているのでありましょう?
期待と不安が綯い交ぜになって、食入る様な表情です。
背丈に合わせて描かれる艶やかな桜は、手紙の中身を暗示しているかのようです。
マイ・ピュア・レディー、「たった今」春が訪れる瞬間を切り取った、そんな作品でありましょうか。
英泉は、江戸浮世絵界の小派閥・菊川派に属する絵師です。
師・菊川英山はリカちゃん人形のような可愛らしい美人を描きましたが、英泉の描く美人は6頭身で猫背、首も短く顎が突き出た相当マニアックな顔立ちです。
天下泰平と言えば聞こえは良いものの、永らく続いた社会体制の制度疲労に閉塞感が漂うような、そこはかとない退廃を感ずる作風であるように思います。
さて、コロナウイルスは一つの切欠です。
積み上がったマネタリーベースは、どういう去就を辿るのか。
関東大震災と昭和の金融恐慌時代を生きた、私の祖父の言葉を記します。
「怒るな、心配するな、凡てに感謝せよ、業を励み、人には親切に。」
この作品は、本年4月4日から渋谷区立松濤美術館で展示予定です。
当財団からは、重要文化財・岩佐又兵衛「弄玉仙図」を含む肉筆浮世絵・22点を出品致します。
次回は3月27日お昼頃、「ラヴレターをもらったもう一人のお嬢さん」をアップします。