かしわずかん

摘水軒コレクション vol.11 狩野山雪「松に小禽・梟図」

本日は、摘水軒コレクション vol.11を連続ご紹介です!!!

 

 

摘水軒コレクション vol.11は、狩野山雪「松に小禽・梟図」です。
今日も、寺嶋哲生さんの誘う名画の世界をお楽しみください!

 


 

 
My collection. Vol. 11

 
狩野山雪「松に小禽・梟図」

 
辻惟雄先生は名著「奇想の系譜」の中で、日本の近世絵画において独創的な作品を遺した6人の絵師を紹介しております。

 
即ち、岩佐又兵衛・伊藤若冲・曽我蕭白・長沢芦雪・歌川国芳と、今回の作品を描いた狩野山雪です。

 
水平から直角に曲がって真っ直ぐ伸び上がる松の枝に、一羽の梟がとまっています。
梟はご機嫌が宜しくないのか拗ねているのか、黒目だけソッポを向いている。

 
その梟をなだめているのか励ましているのか、二羽の小鳥は一生懸命さえずりかけているようです。

 
「心を鷲づかみにするかわいい梟」と評して頂いたのは、2019年府中市美術館で「へそまがり美術展」を企画された金子信久先生の展覧会図録・解説文でございます。

 
この作品は、山雪の描く他の二つの作品を知っていると、更に楽しめます。

 
その一つはメトロポリタン美術館が所蔵する「老梅図襖」。
辻先生は「奇想の系譜」文中において、そこに描かれる老梅の幹を評して「さながら身もだえしのたうちまわる巨大な蟠龍のように、上昇し、下降し、屈曲し、痙攣する」と表現していらっしゃいます。

 
もう一つの作品は、根津美術館が所蔵する「梟鶏図」対幅。
右幅に描かれた梟は、目の描写を含めて今回の作品と良く似ております。
奇抜な老梅の片鱗を感じる松に、山雪のお茶目な側面を示す梟がとまる。
奇想の一端を垣間見る事ができる、楽しい作品でございます。
次回は3月13日のお昼頃、春爛漫な作品をアップ致します。

 

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