かしわずかん

摘水軒コレクション vol.10 岡本秋暉・羽田子雲「椿に孔雀図」

本日は、摘水軒コレクション vol.10を連続ご紹介です!!!

 

 

摘水軒コレクション vol.10は、岡本秋暉・羽田子雲「椿に孔雀図」です。
今日も、寺嶋哲生さんの誘う名画の世界をお楽しみください!

 


 

 
My collection. Vol. 10

 
岡本秋暉・羽田子雲「椿に孔雀図」

 
秋暉は小田原藩士ですが、弘化年間にかつての我家に逗留されたご縁で、当財団では100点を超える秋暉作品を所蔵しております(Vol.3「月下双鹿図」解説参照)。
秋暉の最も得意とした画題が孔雀で、「若冲の鶏」・「祖仙の猿」・「岸駒の虎」などと同様に「秋暉の孔雀」と称されます。

 
それゆえ、小田原城天守閣・静嘉堂文庫・山種美術館など、多くの美術館が秋暉の孔雀図を所蔵しております。
当財団でも約10点所蔵しておりますが、今回の作品は秋暉晩年の作と思われます。

 
どの絵師もそうですが、学習途中にある未熟な作品から最盛期の作品、そして円熟期の作品へと画風は変遷いたします。
秋暉の孔雀も、天保頃は渡辺崋山風のあっさりした写生画調、弘化頃には装飾性が加わって秋暉らしさが確立し、嘉永頃には生真面目さと装飾性のバランスが相俟って典雅な漂いを感じます。

 
安政頃には更に誇張した躍動感を演出し、獰猛な表情を見せる孔雀図も遺しております。
私的には、嘉永から安政の始め頃の孔雀図が、最も魅力的に感じます。

 
今回の作品は写実性が薄れ、装飾的に様式化された漂いです。
良く言えば「円熟した」、悪く言えば「描き慣れちゃった」、更に恣意を加えれば「情熱を失った」絵のように感じます。
所蔵する孔雀図を私の好きな順で並べると、5番目か6番目?
もっとお気に入りの孔雀図は、いずれアップ致します。
秋暉先生、生意気を申し上げましてごめんなさい。
でも尾羽の線は流石でありこの時代の絵師の筆の冴えは見事です、って今更ヨイショしても遅いですかねw
画中「子雲加筆」と落款を入れる羽田子雲は、秋暉の弟子で築地本願寺の住職だった人物です。
孔雀には秋暉以外の要素を感じませんので、子雲が描いたのは恐らく椿でありましょう。
次回は2月28日のお昼頃、「心を鷲づかみにするかわいい」奇想の梟をアップします。

 

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