かしわずかん

株式会社CHATEO“代表取締役”安生 俊一さん

ダンディ店長を探せ!:Vol.14 株式会社CHATEO “代表取締役” 安生 俊一さん 

今回ご紹介するのは、株式会社CHATEO 代表取締役の安生 俊一(あんじょう しゅんいち)さんです。

有機農業を自ら行い、そこで採れた新鮮な無農薬野菜を使った料理やスイーツが人気の、

en Restaurant table beet(農園レストラン テーブルビート)を経営されています

 

自家農園で育った朝採れ野菜が、時には肉や魚料理に彩りを添え、時には主役として存在感を放つ。

朝・昼・晩それぞれの時間帯で違ったお店の雰囲気と料理が楽しめる。

そんな2つとないお店、table beetさんでインタビューさせていただきました!

 

 

安生さんは千葉県野田市出身。学生時代から洋服が好きで、最初に興味を持ったのはアパレルの仕事でした

当時19歳で、“いつか自分のお店を持つ”という夢を描くように

大学を休学してアパレルの契約社員として働き始めましたが、自分で作っていないものをお客様にどう勧めていいのかわからず退職。

 

そんな中、お酒が好きで始めた飲食店での約2年半のアルバイトの中で、調理、お酒の提供、接客を経験し、

自分の手で一から作る喜び、お客様に喜んでもらうことの楽しさを実感。

“いつか飲食で自分の店を持つ”と心に決めました

 

大学卒業後は夢の実現のため、経営の知識を得ようと、飲食事業を展開する会社に就職

地元を離れ、都内で働き始めました。その土地に合った商品企画、食材やワインの知識、ホールサービスの基礎、

数字の拾い方、運営知識など、様々なことを吸収していきました。

 

それまで個人店にいた安生さんにとって、マニュアルが存在する組織の中で働くことは新鮮であり、

多くの学びがありましたしかし一方で、社員がホールサービスよりも調理場に立つことに重きを置いていた会社の組織文化に疑問を持つように

 

料理がおいしいのは当たり前その料理をさらにもうひと味、ふた味おいしくさせることができるのはホールの力と考えていた安生さんは、ホールサービスの重要性を訴え、それまで社員は調理場からスタートしていたにもかかわらず、ホールに立つように。

これは会社としては異例のことでした。

 

ホールサービスに力を入れた安生さんのお店作り。それは目に見える数字に表れ、会社にも評価され、

新規業態であったスペインバル2店舗に立ち上げから携わることに。

これが後の人生に大きく関わります。

 

 

3年間勤めた後、夢の実現に向けて退職。

お店はいつでも出せると考えていた安生さんが始めたのは、なんと農業でした。

 

―なぜ急に独学で農業を始めたのですか。

安生さん「飲食業に出会う前から農業自体には興味があったんですけど、やる機会や環境がなくて。でも26歳の時、埼玉県で畑が借りられるってなって。退職と同時に都内から埼玉県に引っ越して、農業を始めました。」

 

―不安はありませんでしたか。

安生さん「ないですよ全然ないですやったら何とかなるだろうと思っていました。最初はかぶを作ったんです。色々(種を)まくんですけど、かぶは1か月半くらいで収穫できるので最初に成果として出るんですよ。種をまいたらなんとなくできて。食べたらおいしくて。うまい!売れる!って思ってすぐに売る準備を始めました(笑)。」

 

 

2年間農作業に明け暮れ、いよいよお店を出そうと決意したのは、食べていけなかったから。

当時、野菜を飲食店に卸したり、マルシェに出店したり、農業体験などのイベントを行っても、月々の収入は決して多くはありませんでした。

 

出店場所は千葉県柏市駅前には人が多く集まり、少し離れると畑がある。

都内に比べて野菜を運搬しやすいことなどが決め手になりました。

開店に伴い、柏市内に畑を移し2013年8月、柏市泉町にスペインバル、Bal CHATEO(バル チャテオ)をオープンしました。

 

はしご酒をするように、誰でも気軽に利用してほしいという思いを込めて名付けたBal CHATEOは、

サラリーマン時代、スペインバル勤務で得た料理やスペインワインの知識、

そして自慢の新鮮野菜、お店の居心地の良い雰囲気がお客さんの心を掴み、連夜大盛況。

一方で安生さんは、もっと広い場所で、もっと多くの人に

朝から新鮮な野菜を味わって楽しんでもらいたいと考えるように

 

そこで新たな表現の場として、20161月に農en Restaurant table beetをオープン

同年3月には我孫子市に畑を移し、農薬・化学肥料不使用など、農業における志や考え方が似ていた自然野菜のらさんと共同で野菜作りをスタート。作業効率が格段にアップしました。

 

店舗展開をして質を下げたくないという理由から、2017年1月にBal CHATEOを閉店。

 

20178月には、株式会社CHATEOを設立しました。

 

 

―1日のスケジュールを教えてください。

安生さん「基本的には、11:00~18:00まで畑作業。20:00から翌5:00までお店にいます。」

 

―翌5:00まで営業があると寝る時間がほとんどなさそうですが…安生さんの原動力は何ですか。

安生さん「畑作業もお店に立つことも、仕事だと思っていないんです自分にとっては日常なので起きたら、“畑に行かなきゃ!”“植わっている野菜を収穫しなくちゃ!”ってなります。畑に行くのがめんどくさいとか、行きたくないと思ったことは今まで一度もありません。好きなことしかやっていませんし、自主的にやっていることなので。自分にとっては遊びの延長です。本気の。」

 

―行きたくないと思ったことが一度もないなんて…!

安生さん「たぶん農業に関しては一番最初に思ったんです“昔の人はすごいな”と、“これは一生やめてはいけないことなんだな”って。自分の代で始めたけれど、自分の代では全く解決しない問題なので、あとは死ぬまでにどれだけ味わえるかどれだけできるか。そこの勝負だと思っています。」

 

 

「やりたいことに対して時間が足りないですね。焦ってはいないですが、急いでいます。すぐに寿命が来ちゃうから(笑)。」と安生さん。

 

 


広々とした店内。小人数の利用だけでなく、結婚パーティーなどの会場として貸し切りでの利用も多い。

 

 

―内装のこだわりを教えてください。

安生さん「木・鉄・自然・古いもの既製品よりも1点ものが好きなんですよ。テーブルは栃木県芳賀郡益子町の作家さんの作品で、サクラやケヤキ、クリなど、色々な木を組み合わせて作られていますカウンターの木は100年前の日本家屋の梁(はり)アイアン()作家さんが作った照明もあります。」

 


店内の片隅には八百屋さんコーナーがスイスチャード(ほうれん草と同じヒユ科。茎の部分が赤や黄色、オレンジなどカラフルなのが特徴。)や、コリンキー(生で食べられるカボチャ)など、スーパーではあまり見かけない珍しい野菜も多く、調理法などを丁寧に教えてもらえる

 

 

―メニューはどのように決められていますか。

安生さん「ほとんど料理人が決めてくれていますが、野菜との兼ね合いで決まるメニューもあるので、例えば、“このトマトはここから1か月収穫できて2か月後はもうないです”っていうような収穫予定の話し合いを踏まえて、栽培計画を見ながら料理人と2週に1度打ち合わせを行います。」

 

―計画通りに野菜が収穫できないこともありますか。

安生さん「毎年1月、2月頃に、この場所にこのぐらいの量を作りますっていう年間計画を立てるんですけど、ほぼ計画通りにいかないです。きれいにできたと思ったレタスが、よく見たら中に虫がたくさんいて売り物にならなかったときは一瞬、“農薬を使っていたら全部出荷できたのかな”と思ってしまったこともありました。でも、無農薬・無化学肥料っていうのは唯一決めたルールなので。」

 

―農薬はこれからも使うことはないですか。

安生さん「やっぱりそのほうがおいしいですからね。絶対に違うんですよ、味が。同じ作物を作るにしても、有機農業は微生物を生かした土が全て。微生物とか自然の力を知ってしまったので、(農薬を使ったら)あの味に会えないんだと思うとやっぱり使わないですね。」

 

 

モーニングで食べられるワンプレート。楽しい1日のスタートに。

右上:本日のキッシュ、サラダ、朝のスープ。

左下:本日のスコーン、サラダ、ベーコンエッグ。

どちらも\500(税抜)、ドリンクセット+\100

※内容は変更有。その時々の旬の野菜を使用したキッシュ、スコーン、サラダなどが楽しめます♪

 

 


種類豊富なお酒。ビール、野菜やハーブを使用したオリジナルの自家製ドリンク、

安生さんが独自のルートで入手した自然派ワインなども楽しめる。

 

 

―これからやりたいことはありますか。

安生さん「ワイン造です。醸造所もつくりますよ。40歳までにはボトルの状態にして、お店で提供したいですね。もうすぐ34歳なのであと6年。やりますよ。できます。ワインを造りたいっていうのは実は何年も前から言っていて、一緒に作り上げる仲間もいるんです。やるしかない。本気の遊びなので(笑)。」

 

お店の前で試験的に育てているというワイン用のぶどうの苗木。

 

 

じぶんたちの手で

野菜をつくる みんなで食べる

はんぶん農家

はんぶんレストラン

おくる毎日を豊かに

採れたての野菜 口にした時の感動

忘れられない

自然なほうが美味い ただそれだけ

(table beet 公式HPより)

 

この言葉に、安生さんの思いが詰まっているように感じます。

そして筆者も、table beetさんの野菜に忘れられない感動をいただいた1人です。

みなさんもぜひ一度table beetさんで、“野菜本来の味”を味わってみてください。

 

 

実は、これまでご協力いただいたほとんどのダンディ店長のみなさまから、

次の候補にぜひと、お名前を挙げていただいていたのが安生さんでした。

そんな、ダンディ店長が認めるダンディ店長、安生さんとゆっくりお話ししたい方はぜひCHATEO Timeをご利用ください♪

 

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

 

以下、お店の基本情報です。

 

 

農en Restaurant table beet(農園レストラン テーブルビート)

〒277-0021 千葉県柏市中央町7-26 栄マンション1F

☎04-7103-6395

【営業時間】

Morning:9:00~11:00

Lunch:11:30~15:00

Cafe:15:00~17:00    

Dinner:17:00~23:30(L.O.)

CHATEO Time:24:00~翌3:00(最終入店) ※木曜日はお休みです。

【定休日】なし

http://tablebeet.com/

 

 

 

 

掲載情報は2018年7月4日の取材時のものです。

掲載内容が変更になる場合もございます。あらかじめご了承ください。

 

 

 

取材・執筆:小島 眸  撮影:児玉 啓、小島 眸

 

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