Bar Calma『季節を謳うBar』
「生け花」を眺めるカウンター。潤いと共に、整った雰囲気を醸し出す。
皆さんは梅雨明けが待ち遠しいかな?
俺はそうでもない。
雨に濡れる植物も美しいからね。
これは、梅雨入りしたばかりの頃のお話し。
柏銀座通りを、神社を右手に見ながら歩く。
そぼ降る雨の月曜、さすがに人通りは少ない。
Bar Calmaを訪れたきっかけは、メープルシロップを使うカクテルを探していたら、偶然、HPで見つけたから。
以前、国産シロップについて書いたが、カナダ産のシロップで作るカクテルにも、当然、興味があるのだ。
☆ ☆
ゆったり落ち着く、いごこちの良いカウンター。
苦味を抑えたミント引き立つ薬草のリキュールと、パッションフルーツのシロップは、華やかな印象。
いきなり核心を注文はせず、3杯、他の酒で楽しみ、“さて、そろそろ頼もう”と、メニューを探してみた。
メープルシロップのカクテルはどこだろう?
だが、まったく違う場所でページをめくる手が止まった。
今月のカクテル
《雨の中の帰り道に、雨にうたれるアジサイをイメージ》
ウォッカ、エルダーフラワー(※1)&ミントのシロップ、レモンジュース、パルフェタムール(※2)
…………おぉっ✨これはっ!
他人(この場合、バーテンダー)の心の中にある、“特定の植物とその風景”を、カクテルで共有できるってことじゃん❗❗
なんだこれ✨
素晴らし過ぎる✨
☆ ☆
以前書いたかもしれないが、俺にとってBarは、形を変えた植物園でもある。
酒も、フルーツもスパイスもハーブも、すべて植物。
俺は、植物とその風景を想うことが大好きだ✨
だからこそ、他人の心の中にある植物風景を知る機会、逃すわけにはいかないぞ❗
「あの………今月のアジサイのカクテルを……」
☆ ☆
うっすら紫色のアジサイカクテル。雨降りの一日も、この一杯で楽しく締めくくれる!
いつも思うが、味覚を文字にするのはとても難しい。
静かに目を閉じて、味わいが呼び起こす風景を楽しもう。
どんよりではなく、明るい曇り空。
ザーザーではなく、シトシト優しい雨。
しっとり濡れたアジサイの小道を、傘をクルクル回してステップを踏む。
どこからか聞こえてくる軽やかなメロディ、まるでミュージカルのようなワンシーン。
そして、この風景を彷彿とさせたのは、レモンジュースとエルダーフラワー&ミントのシロップのバランスだ。(個人の感想)。
3種類の液体の案配が絶妙で、雨降りのアジサイの風景がどんよりせず、明るく軽やかなミュージカル仕立てなのだ✨
☆ ☆
で、目をとじて妄想にふけっていたら、優しく帰宅を促された(苦笑)。
初めての来店であること、既に4杯飲んだこと、(妄想にふける姿が)眠そうに見えたこと。
そりゃそうだ。
バーテンダーは紳士。
すべての振る舞いは、お客様のため。
よし、今日はおいとましよう。
「ごちそうさまでした!今月中に必ず来ます!アジサイのカクテルは、また、いただけますか?」
「はい、もちろん!レシピがありますから6月じゃなくても大丈夫です😊お待ちしております!」
外は、相変わらずの雨模様。
脳裏には明るく咲く薄紫のアジサイ。
思わず口ずさむ鼻歌は、Singin’ in the Rain……。
blessing(水の恵み)という名のカクテル。「植物には水が不可欠です」と、オーナーバーテンダーの飯嶋氏。一本取られた(笑)。爽やかな味わい。
ブランデーを軸にした、秩父のメープルシロップカクテル。シロップの余韻が長ーく続く♪
※1:エルダーとは、和名をセイヨウニワトコというレンプクソウ科の樹木。花は香りづけや食用になる。野生のエルダーにまつわる伝説は多く、ヨーロッパでは魔除けとしても使われてきた。そう言えば、ハリーポッターでは、ニワトコを杖にするシーンが出てきたような……。
※2:「完全なる愛」という意味の、スイートバイオレット(ニオイスミレ)の香りを基本にした紫色のリキュール。
Bar Calma
柏市柏3丁目4-5
営業時間:19:00~2:30
定休日 :日曜日