くつろぎのBar

Bar Landscape.『2人で楽しむBar』

かつて、Bar Landscape.の原稿の中で、“誰か誘って来てみたい”と、書いたことがある。

その時は、ハーブで作る魔除けのブーケのように感じたオリジナルカクテルを、誰かに飲ませて、共感して欲しいと思ったからだ。

勝手に、そのカクテルを『タッジーマッジー』と命名したっけ(笑)

 

今まで、Barに2人で行ったのは、わずか数回。

いつもは飲んだ酒を原稿に起こせる俺が、後で「ハテ?」となってしまいがちなのが残念だった。

2人では、Barは楽しめないものなのか?

いいや、そんなことはないハズだ、俺が知らないだけだ。

1人飲みには1人飲みの、2人飲みには2人飲みの、楽しさがあるはずなのだ

 

 

☆     ☆

 

 

Bar Landscape.のカウンターで、緊張の面持ちで俺の隣に座る彼は、年齢的には俺よりはるかに若い。

Barにはたまには行くが、銀座は初めて。

デートでもないのに、俺みたいなオッサンと初めての銀座なんて、気の毒この上ないが(笑)、ついてきてくれただけ有難い。

 

「申し訳ありません。本日オーナーは少し遅れてまいります。このままお待ちになりますか?私でよろしければ、おつくりすることはできますが…」

 

お~かえってラッキー!

緊張気味の彼には、店名は伝えていたので、もしかしたらBar Landscape.のHPのプロフィールとか、見ちゃったのかもしれない。

よっしゃ!オーナーと対面前にワンクッション入れよう♪

 

「そうですか、では、先に飲んでましょう。喉が乾いてるんで、私はスプモーニを。ところで、ここ、メニューありましたっけ?」

 

「メニューはございません。ご希望を言っていただければ…」

 

俺は彼に振り向いた。

「メニューはないらしいよ、どうしようか?好みを言ってみて。」

 

「ウイスキーが好きです…」

 

「本日は桃がございますので、桃とウイスキーのカクテルはいかがでしょう?」

 

「普段、カクテルはあまり飲まないので、それで!」

 

「あ~桃!いいですね~そんな季節ですね。私もスプモーニの後は桃で!ベリーニをお願いします。」

 

「スプモーニって何ですか?ベリーニって何ですか?」

 

「それはね……」

本日の“特別な”スプモーニ♪

 

 

☆     ☆

 

 

飲み出せば、おのずとリラックスするものだ。

俺の“超どうでもいい観葉植物話し”が一段落すると、彼は“職場で考えていたような仕事ができていない”と、語りだした。

 

ガローネというミキシンググラスの中で、ベリーニ用の桃のピューレがクルクル回る様子を見ながら、俺は話を聞いていた。

どんなに職種が異なろうと、多分、多くのビジネスマンが経験するであろう迷い。

回答にならないが、俺が彼と同じ年代の頃、最初の上司から聞き、つい最近、同年代の同僚からも聞いた、同じセリフを伝えてみた。

 

「仕事は楽しくあるべき、なんだってさ。」

 

俺自身が、絶対疑わず、信じていることでもある。

 

「たくさん迷えばいいよ。」

 

到底、的を射た回答ではなく、“やはりこんなオッサンと来たのはマチガイだった”と思われたかもしれない(笑)

 

俺は俺で、AIの普及で単純なPC作業はリストラ対象だの、業務効率の向上は最後は人の気持ちのありようだの、程々に熱く語ってしまい、大人として、多分、やらかした(苦笑)

 

だが……むふぅ!(吹き出すのを我慢)くふっ!…くふふっ、何だか楽しい♪

 

その頃にはオーナーが来ていて、俺は人差し指を立てた両手で、ベリーニをコミカルに指さした(笑)

 

「(カクテルが)大丈夫でしたか?!」

 

俺は、“気にせずに”という意味で、コミカルにうなずいた。

 

「今日は、俺よりずっと若い人と来ました。若い方にもBarに来て欲しいんです。」

 

「私達もそう思っていますよ。」

オーナーの松尾氏が微笑んだ。

 

俺がボウモア18年を楽しんでいると、彼は彼で、松尾氏と話しながら、飲み物を決めている、うんうん。

Barの船頭さんは、バーテンダーで、俺じゃない。

彼の舌は俺の舌じゃない、俺がアレ飲め・コレ飲めなんて、ナンセンス♪

自分の旨いは、自分でみつけるんだ♪

 

お互い植物が好きで、どうやら、酒の強さが似ている。

2人飲みにおいて、これはきっと重要なポイントだ♪

 

「ボウモアの次は、何を飲もう?おすすめありますか?」

 

「こちらはいかがですか?」

 

「おっ!ラヴクラフトぉ?!」

 

思わず声が出た。

ボトラーズだ、それにしてもこのラベル!……まるでクトゥルフ神話のような、タコっぽいモンスターが描かれているが、クラーケンにも見える。

これは~、好きな人は好きだろう!

おまけにラベルの右側に、HPだのMPだのPWだの、ゲームキャラクターのステータスを示すようなレーダーチャートがあるが、これはこのウイスキーの味わいのことだろう。

「カレドニアクエスト ア ディスティラリー オン アイラ2009年 ホグスヘッド」蒸留所非公開だが、ピート感・スモーキーさ納得の“アイラ”♪ 俺は決して専門家筋ではないが、「ジャンルの横断」はいいことのように思う。だからこれが、幕張メッセの「東京ゲームショウ」とかで、もし大人向けに販売されていたら、嬉しいな♪

 

 

なんだコレなんだコレ!…遊び心がスゴイ☆

ゲーマーが見たら、刺さるんじゃないか?!

ただ、そのゲーマーに、このウイスキーの情報が届くかどうかだが……届くかどうかだが……知らんわ(笑)

俺が若い方にもBarに…なんて言ったから、これが出たのか?まさかな、なんて考えながら、レーズンバターサンドをかじりつつ飲むと、旨いっ!合うなぁ~

隣の彼も、同じレーズンバターサンドをパクついている。

レーズンバターサンドと共に。ウイスキーと鉄板ですよ♪あいますよ♪

 

 

「さ~て最後は何飲む?」

 

「“マツコの知らない世界”で、白州を放送したんです。」

 

「白州?棚にあるよ、ほら!」俺は指さした。

 

「通常のハイボールに、冷凍庫で冷やした白州で“追いウイスキー”すると、メロン風味になるそうなんです♪」

 

最後に、まさかのテレビネタ~!!

2人とは、何が起きるかわからないものらしい(笑)

俺1人では絶対こーゆー展開にはならない(笑)

 

「ほぇぇ~!オーナーに言ってみなよ!ほれっ!ほれっ!」

 

「えぇと、……」

 

彼が松尾氏に話すと、すぐに伝わったようだ。

ただ、今、白州は冷やされていない。

 

「今じゃなくて大丈夫です!次回来たときにお願いできますか?前日にお電話します!」

 

俺はそう松尾氏に言い、隣の彼と次来る日を決めた。

なんと、思わぬ展開で、彼とまた来ることになったのだ。

 

俺が最後に飲んだのは、限りなくモクテルに近い、シンガポールスリングだった。

 

 

☆     ☆

 

 

帰りの電車に揺られながら、記憶を反芻してみる。

“なんじゃぁ~?!思ってたのと違う(笑)でも、何か楽しかったな!1人の時とは、飲むリズムは違ってくるけど、酒も会話も、どちらもないがしろにならなかった。ようわからん意外性もあるしな(笑)”

 

ただし、酒の「共感」は、次回の“白州メロン風味?ハイボール”に持ち越された(笑)

果たして、俺は共感するのだろうか?

俺は今、タッジーマッジーを彼に飲んで欲しいと思っている。

カクテルは一期一会だ。

だから、あの日のタッジーマッジーの再現はできない。

だが、新しいタッジーマッジーで共感することはできるかもしれない。

“アレ飲め・コレ飲め”はナンセンスだとわかっているのに、何でこんなことを自分が考えているのか、よく説明できない。

 

でも、「1人では起きようがないことが2人なら起きる」ことに、ワクワクしている自分がいる

果たして漫画のような“超ロングパス伏線回収”は上手くいくのか?!

 

だが、そうは言っても、彼は楽しかったのだろうか……?

少し現実に戻った頃、次回を楽しみしていると、彼からメールが届いていた。

 

あっ、肝心なこと、書き忘れた!

俺達は、各自自腹だ(笑)大事だろう?

後日、新たな“タッジーマッジー”の材料になったもの達♪

左からエルダーフラワーリキュール、スミレの花のリキュールでパルフェタムール、チェリーのリキュールでマラスキーノノルデス アトランティック ガリシアン ジン

フローラル✨✨ タッジーマッジーは魔除けの意味も持つ。2人で「エクスペクト・パトローナム!!」と呟いてみた(笑)

 

 

Bar Landscape.

東京都中央区銀座6-4-9 SANWA GINZA Bldg.B1F

営業時間:16:00~24:00

定休日 :日曜・祝日

https://bar-landscape.com/

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