Bar Alpin『共感のBar』
世間がWBCで沸騰している頃、俺はBar Alpinにいた。
俺には俺の、真剣勝負がある(大まじめ)。
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目の前のカウンターには、秩父産メープルシロップの小瓶。
一般的なメープルシロップはカナダ産、原料はサトウカエデの樹液だが、これは埼玉県秩父の山々に《自生》する、カエデ数種類のブレンド(※1)、純国産シロップなのだ✨
樹液が採取できるのは2月のみ。
生産量が少なく貴重な国産シロップ、“カクテルでいつか試す❗”と思っていたが、その機会がやって来た✨
高山オーナーが開封したシロップを、まずは皆で味見。
「カナダのメープルと全然味が違う!!」
「……黒糖が更に上品になったような……美味しい!」
「粘性がない、サラサラだ!」
「パンケーキはもちろん、和のスイーツにも合いそう!」
ひとしきり盛り上がり、少し考え込んだ高山氏の最初の一杯は、白いデザートカクテルだった。
「最初に甘いものですみませんが……メープルの他に、生クリームとバナナシロップを使いました。」
ベースのジンは、京都蒸留所の「季の美 京都ドライジン」。
ベーススピリッツが米由来、赤松・柚子・玉露・山椒など、和の素材中心のジンだ。
繊細でまろやかな印象がある。
「真っ白だ、味の想像がつかないね…」
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味覚の表現は、時々とても難しい。
一口で、イメージがブワーッと湧き上がってくるのに、語彙が追いつかないのだ💦
「意外な組み合わせだけど……爽やかな森の中を散歩してるみたい……」
「季の美」のジュニパーベリー(※2)が、なんて優しく柔らかなんだろう……✨
針葉樹特有の風味に加え、広葉樹の森のみずみずしさだと言われたら、「そうか」と言ってしまいそうだ(笑)
装いはデザートカクテルだが、クリーム感やミルク感・バナナ感や甘みは、不思議なほど主張を感じない。
秩父の広葉樹そのもののメープルシロップや他の素材が、ジュニパーベリーの印象を変えるフィルターにでもなったのだろうか。
「なるほどなぁ……美味しいや!名前をつけるとしたら、《「季の美」の樹の美》か✨」
そして、アップルリキュールを使った2杯目に続き、「季の美」・ライムジュース・メープルのギムレット(※3)。
「メープルの“焦げ感”です。」
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なるほど、甘くない!
だが、黒糖チックな風味が持つ焦げ感が、ちょっとした香ばしさを醸す✨
「へぇ!甘くないのに、メープルだ❗」
恐らく、「季の美」が繊細だからこそ、焦げ感がきちんと残るんだ✨
とまぁ、面白がっている間に、60gのメープルはあっという間に残りわずかになってしまった(笑)
国産メープルと、繊細なクラフトジンの相性を楽しむ、好奇心という名の真剣勝負(笑)
バーテンダーの技術あってこそというのは、言うまでもない。
俺は、いつも好奇心でいっぱいなんだ。共感してくれてありがとう!
Bar Alpin!
※1:イタヤカエデ、オオモミジ、ウリハダカエデ、ヒナウチワカエデ等、数種類のカエデ。
※2:ジュニパーベリーは、ヒノキ科の針葉樹で、和名セイヨウネズの果実。
※3:ギムレットは、ジン・ライムジュース・シロップ類をシェイクしたカクテル。
Bar Alpin(バーアルパン)
柏市柏4-4-16 ロイヤルビル2F
TEL 04-7199-2286
営業時間:火曜日〜土曜日 19時〜03時(3/31までは18時~01時)、日曜・祝日 17時〜24時
定休日 :月曜日