かしわさんぽ~明治を巡る~その②有限会社金子畳店
今回お邪魔させていただいたのは、明治45年創業、柏で4代続く畳店「有限会社金子畳店」さんです。
柏駅東口から徒歩約5分。マクドナルド柏駅前通り店の横の路地を入ってほんの少し歩くと、右手にあります。
目次
① 店内ご紹介~イ草の香りに癒されて~
② 3代目 金子元宣さん
③ 畳は職人さんの努力と技が紡ぐ日本の伝統文化!
④ 受け継がれていく信用と実績
⑤ 元宣さんによる実演!~畳手作業「平刺し」~
店内ご紹介~イ草の香りに癒されて~
以前は、ここ本店で畳作りが行われていたそうですが、現在は国道16号沿いの東台本町にある「東台営業所」が作業場となっています。
とはいえ店内には畳がたくさんあって、イ草の香りに包まれてさっそく癒されます~。
実はイ草の香り成分にはバニラエッセンスと同じ物質が含まれているんだとか!
どうりでリラックスできるわけですね。
イ草の質は、座敷用の柔らかいもの、柔道場などに使用される丈夫なものなど、用途によって異なります。
カラーリングされたイ草が店内に飾られているのを発見!
染めるのに非常に手間がかかるため現在は生産していないそうです。
現在一般的なカラー畳、見た目はイ草で作られた畳にそっくりですが実は素材が「和紙」なんだとか。
ここ本店、昔は「かやぶき屋根」だったそうです。
屋根は変われど丈夫な梁や柱は今もそのまま残っていて、お店をしっかりと支えています。
店内ではイ草製品や、民芸品、作家さん手作りの小物などが販売されています。
3代目 金子元宣さん
代表取締役でもある3代目元宣さんが、昔のお写真や畳道具を見せてくださいました!
(普段目にすることの出来ない道具の数々にカシワニもびっくりです。)
この道具一式を、職人さん一人一人が買い揃えるんだとか。
上写真の道具は初代が明治から使っていたものですが、大事に手入れがされていたおかげで今でも使える状態なんです。
畳は職人さんの努力と技が紡ぐ日本の伝統文化!
上写真の切糸で畳を縫っていくのですが、糸を指で絡めるので食い込んでタコができて指が荒れてしまうそうです。
畳道具を見てもらうとわかるように、先が鋭い道具も多く、どんなに気を付けていても怪我をよくしてしまうんだとか。
丈夫な畳を縫うのはかなりの力仕事で危険も伴うのです。
金子畳店さんに限らず、現在は畳作りのほとんどが機械作業ですが、場所によっては機械が使えないこともあり、今でも手縫いが必要なんだとか。
ところで皆さん、畳は日本で生まれたことをご存知でしたか?
その歴史は奈良時代にさかのぼり、時代に合わせ用途や原料を変化させながら千年以上続いてきた、日本が世界に誇る伝統文化なのです。
フローリングが主流になっている現在でも畳が姿を消すことがないのは、やはり日本人の生活と畳が合っているからではないでしょうか。
受け継がれていく信用と実績
4代目金子泰行さん(取材当日はお仕事で不在のため残念ながらお会いできませんでした)の奥様で、本店店長としてお店を切り盛りされている4代目女将、敏江さんは、お店の105年の歴史について「自分たちが4代続いているのと同じように、お客様も何代にもわたってお付き合いしてくださることが嬉しいです。」と話してくださいました。
お客様の家に上がって作業することも多いので、安心して任せてもらうためには信用第一なんだとか。
職人さんが長年の努力と実績で築き上げてきたものなのですね。
皆さんもぜひ一度金子畳店さんへ足を運んでイ草の香りに癒されてください。
初めて来たのに、なぜでしょう。懐かしいような、ほっとする空間なんです。
そしてきっと畳が恋しくなるはずです(´-`*)
最後に、今ではなかなか見ることのできない畳手作業を元宣さんに実演していただきましたのでご覧ください!
元宣さんによる実演!~畳手作業「平刺し」~
畳の製造において、畳縁(たたみへり)の縫い付けには「平刺し(ひらざし)」と「返し縫い」の2つの工程があります。
「平刺し」
畳縁を上から下へ縫い付けます。(この時、肘で締める様子にご注目を!)
動画でご覧いただいた平刺しの後「返し縫い」という、表に返した畳縁を側面から縫い上げる作業を行って完成です。
元宣さん、ご協力いただきありがとうございました!
パフォーマンス中、通りすがりの方の反応は、珍しそうに見ていく方、懐かしいと感じる方など様々でした。
職人技を目の前で見ることができて、筆者にとっても貴重な体験でした♪
以下、お店の基本情報です。
有限会社金子畳店
〒277-0005 千葉県柏市柏1丁目4-22
☎04-7167-2472
【営業時間】
本店:10:30~18:00
東台営業所(作業所):8:00~17:00
【休業日】
本店:火曜日
東台営業所(作業所):日曜、祝日
取材・執筆:小島 眸 撮影:児玉 啓