BAR 和伽『惜しまないBar』
「万さん(槙野万太郎=神木隆之介)見てたら、人生って、僕が思ってるよりずっと濃くて、たくさんのものが入る器なんだなって、思えて。その器をパンパンにしていくことが、生きるってことなのかなって。」(NHK朝ドラ「らんまん」第53話より)
説教臭いのは好きじゃない。
でも、NHK朝ドラ「らんまん」、波多野泰久(=前原滉)のセリフのせいで、俺の人生の方向性が30°ぐらい変わったのは事実だ(90°とか180°ではない、笑)
「俺の人生、ぜんぜんパンパンじゃないよな!?結構、隙間だらけじゃん!?」
以降、俺は躊躇することが減った。
興味を持ったら、経験が無くても、とりあえず突っ込んで行く。
結果、失敗だって後悔だってある。
でも、それでいいんだ。
☆ ☆
この看板の奥に進むと、2階の店へ続く階段がある♪ Barのドアっていうのは、とかく重厚で、店内をなかなか想像できない。だが、一歩入れば、そこには「くつろぎ」が約束されている♪
「新しいBarが開店して、フードに鍋物があるらしいよ。」
「へぇっ!鍋?!Barで?」
そんな風の噂を聞いて訪れたのは、柏銀座通り、トラットリアキッコの入るビル2階、「BAR 和伽」。
今時の戸建にも少なくなった欄間。まさかまさかのBarで遭遇!どっしりとした意匠は「松」だろうか。
俺はカウンターに座り、酒瓶が並ぶ棚の上の《欄間》を、ずっと眺めていた。
《欄間》って、アレだ、日本建築で、天井と鴨居との間にある、装飾的な開口部材のこと。
(鴨居って何?って聞かないで、笑)
なんでも、古民家の解体の際に、ひっぱってきたらしい。
和風のBarとは聞いていたが、造りからして、“こだわり”があるようだ。
カウンター背後の壁には、竹を使った装飾が施されている。
「本物の竹を使ったので、時間と共に色褪せてしまうんです(笑)」
節の環が二重に見えるから、多分、マダケ(真竹)。本物だからこそ変化していく。「枯れ」が醸す情緒を味わいたい♪
店長の安藤氏は、もしかして失敗と思ったのか、照れくさそうだったが、俺的には、時と共に変化していく様を眺められることの方が、より、価値ある空間だと思う。
決してフェイクがダメなワケじゃないが、植物屋の俺には、時と共にうつろう世界観が、より好ましいのだ。
カウンター脇のボードに書いてあるフードメニューは、おすすめなのだろう。
和を意識したお品書きだが、驚いた、「米」がある。
「小腹が減っているので、“炊き込みご飯”をいただけますか?」
「少しお時間をいただいてしまいますが……」
「う~ん、待てるかなぁ」
「では、蕎麦はいかがです?“二八蕎麦の鴨せいろ”。メニューに加える予定です。」
「それで!!」
クラッシュアイスと一緒に竹ざるに盛られた、まだメニューにない、ツヤツヤ蕎麦。
少し濃いめの鴨汁と、驚くことに、蕎麦湯まで付いてきた。(ここはBar 笑)
蕎麦はツルツルのど越しがいい✨
「つゆの濃さはいかがですか?」
「大丈夫、美味しいです♪」
う~ん、サントリーROKU<六>NORYO TEA EDITION ベースの緑茶ジントニックは、確かに蕎麦と合うなぁ✨
さて、次は何を頼もうか……。
「レーズンバターの黒蜜がけと、それに合いそうなジンでカクテルをお願いします。」
大きな焼き物の角皿に並んだレーズンバター、黒蜜の風味はそのまま、ほどよい甘さだ。
淡いピンクのジン、ソルジン・ロゼと、クランベリージュース、トニックウォーターのカクテルは、フルーティーさも甘味も、黒蜜とはまったく違う世界観のせいか、互いに邪魔しない♪
ソルジン・ロゼ。店長はジン好きだそう。ジン談義に花を咲かせるのも楽しそうだ♪
☆ ☆
そして……
カクテルの入った大きめのグラスが、手元で少しぐらついた。
「重いグラスですね、ちょっと飲み辛いかも…」
俺は、特段、文句を言ったつもりは無かったのだ。
だが、その瞬間、飲みかけのグラスは、サッとカウンターの内側に引き取られ、別のグラスに入れ替えられて出てきた。
それだけではない。
最後に頼んだ桃のモクテルは、俺が“ネクター好き”と、一言漏らしたせいだろう。
薄まらないよう、溶けないキューブが使われていた。
いずれも、俺がそうして欲しいと頼んだわけではない。
そこに感じるのは、気持ちよく過ごして欲しいという、安藤氏の気遣いだ✨
「ああ、美味しかった!すっかり寛がせていただきました。明日の元気になりました。」
「ありがとうございました!また、お待ちしています。」
懐石料理が出てきても驚かない、落ち着く「和」の店内。
☆ ☆
さて、入店から見送られるまでの間、なぜ、頭の中で、ずーっと波多野のセリフがリフレインしていたのか、帰り道、ボーっと信号待ちをしていて、唐突にひらめいた。
「BAR 和伽」には、手間を惜しまず詰め込まれた“こだわり”が、店の造りからメニュー・接客に至るまで、溢れていた。
そこに、波多野の言葉に繋がる共通性を見たのだ。
「……人生は、たくさんのものが入る器、かぁ……。店もまたしかりってか…。」
「惜しまないBar」の“こだわり”は、訪れる客を、きっと新鮮な喜びで満たしてくれるんだろうな♪
あっ、次こそ“炊き込みご飯”食べるか(笑)
先日、再訪して食べた念願の「炊き込みご飯」✨あっさりを希望したら、具は海鮮だった。具は選べるぞ✨
釜の底の「おこげ」も美味かった✨
再訪時に飲んだ「ゴマ豆富のアレキサンダー」「腐」ではなく「富」、確かに濃厚✨
BAR 和伽
千葉県柏市柏3-3-18 AK BLD.Ⅶ 202
営業時間:19:00〜3:00
定休日 :日曜/月初の月曜〜火曜