Espresso&Bar come al SOLITO「SOLITOとあしたのバーテンダーその2」

（予告より早い掲載になった！）

“申し訳ありません…レモンジュースを切らしております。”
（そうか…今日はエメラルドクーラー飲めねぇな…）
“もし、お許しいただけるなら、ライムジュースで作らせていただいてもよろしいでしょうか？”
“えっ？あっ、あぁ、いーよ！いーよ！ライムジュースで作ってみてよ！”
“はいっ！ありがとうございます！！”
S君はぱぁっと笑顔になって、カウンターの奥に戻った。
俺は…俺はと言えば…S君を目で追いながら、胸がドキドキしていた！
なぜかって？だって、店長、留守だぜ。普通、諦めるだろ？
レモンジュース無いってところで。
それが、諦めねーで、聞いてきたよ！ライムジュースで作っていいかって！！
……もしかして、人の進化の瞬間を見たんじゃないの？俺。
S君が緊張の面持ちで運んでくるそれを、俺は興奮を抑えて迎えた。
まずはモンブランを一口、それからS君バージョンのそれをゴクッ。
（……うまい……）
俺は決めた。
そのロングカクテルは、諦めずに、お客の希望に少しでも添いたいと願うスタッフ魂が結晶したものだ。
『あしたのバーテンダー』
明日バーテンダーになるかもしれない青年が作ったカクテルを、俺はそう呼ぶことにした。
そして、話してみたくなった。
そんなスタッフを育てる店長と（オーナーか？）、SOLITOに生きる店長イズム（確かオーナーって聞いたような？）について。